桜のもつ大きな特徴のひとつに「香り」があります。日本では昔から、塩漬けにして保存しておいた桜の花や葉を菓子や料理につかい、その上品な香りを活用してきました。
また花や葉だけでなく、木そのものの芳香を利用しているのが燻製(くんせい)です。桜の幹を細かく砕いたサクラチップは、ハムやソーセージ、ベーコンなど燻製食品の製造には欠かせない存在です。
サクラチップは、桜の幹(丸太)を砕いて作られますが、種類はザラメ程度の大きさのものから、数ミリ角程度まで各種揃っていて、最近はホームセンターなどでも簡単に買い求めることができるようになってきました。
そして燻製は、このサクラチップを不完全燃焼させ、出てくる煙で肉や魚を燻(いぶ)して作るわけですが、ポータブルコンロと金網、アルミホイルといった手近な台所用品で簡単に作ることができるとあって、燻製づくりを趣味として楽しむ人が年々増えています。
とくに、チーズの燻製は簡単なので、お酒の肴としてよく作られています。
サクラチップを燃やさないように、アルミホイルに包んで中華鍋で炙(あぶ)り、その上に金網を乗せてチーズを並べ、蓋をして5分ほど燻せば出来上がりです。
コツは、サクラチップと一緒にザラメを少しアルミホイルで包むことだそうで、このひと手間が色や香りづけを強調することにつながるそうです。
慣れるに従って、釣ってきた川魚を燻製にして保存するなど、どんどん燻製づくりの虜になっていく人もかなりいるようです。釣りをやらない人は、たとえば賞味期限ぎりぎりの刺身などをスーパーで安く手に入れて、燻製にして味わうなども楽しいですね。